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2018.06.19

エディブル(可食)プリンタ保守業務に
IoT活用
稼働状況をリアルタイムで把握

株式会社ニューマインド/酒田米菓株式会社

価値観の多様化や、写真や動画を介したソーシャルネットワークの普及に伴い、食品の加工においても他者と違うオリジナリティやエンタテイメント性を求める動きが年々高まってきている。その中で、紙にプリントアウトするのと同様に、食品に直接絵柄を自由自在に印字できるエディブル(可食)プリンターの注目が食品業界で高まっている。
株式会社ニューマインド(東京都中央区)は、2013年に菓子の既存製造ラインへの組み込みに対応した世界初の製品を発表。近年ではIoT(モノのインターネット)の仕組みを保守業務に活用し、高速エディブルプリンターの先駆者であり続けている。同社の代表取締役である佐藤東一氏および同社製品のユーザーであり、菓子業界の新価値創出を模索する老舗菓子メーカーである酒田米菓株式会社(山形県酒田市)代表取締役社長の佐藤栄司氏に話を伺った。

IoT監視体制の構築で、攻めの保守体制にシフト

エディブルプリンターの仕組みは、紙に印刷するインクジェットプリンターと基本的には同じである。根本的に違うのは、使用するインクが食物由来の天然色素で構成される「食べられる」インクであることだ。
印字品質を左右する基幹部品の一つであるプリンターヘッドは、温度や湿度といった急激な使用環境の変動、日々のメンテナンスの欠落などにより、目詰まりに起因する印字のかすれ、ムラといった不良を起こすため、繊細な管理が求められる部品だ。
食品製造業には例えばバレンタインやクリスマス、ハロウィンといった業界ならではの繁忙期があり、この時期は、製造機械の性能を限界まで引き出した増産を行うことも多い。
エディブルプリンターは、先述したプリンターヘッドのように繊細な管理が必要な部品で構成され、印字品質を保つためには、同社が定める生産スピード、メンテナンス方法下で印字を行う必要がある。
ただ、こうした繁忙期には、ユーザー側が同社仕様規定を超えるスピードで印刷することが多いために印字不良や故障等のトラブルが頻発していた。販売後のメンテナンスやトラブル対応は、保守要員が限られるニューマインドにとって大きな負荷となっている。こうした問題を解決すべく、同社は保守業務にIoTを導入した。
具体的には、トラブル要因の指標となる「環境温度・湿度」、「プリンターヘッド温度」、「インク残量」、「搬送スピード」といったデータをプリンターの各所に設置したセンサーで取得。顧客企業の通信環境に依存せず通信を可能とする通信モジュール「SORACOM Air for セルラー」(株式会社ソラコム)を介し、インターネット経由でクラウドベースのIoTプラットフォーム「Sensor Corpus(センサーコーパス)」(株式会社インフォコーパス)に稼働データを送信することで、リアルタイムで顧客のプリンターの稼働状況を可視化し、異常通知、制御、分析といったことを可能とした。
これにより、同社の保守業務は自社にとっても大きなメリットを生み出すこととなった。
トラブル要因の指標をモニタリングできるようになったことで、トラブルを予め回避するための運用支援ができる様になった。また、故障が発生したとしても、緊急性の判断・早期の要因特定ができるようになったことで迅速かつ、正確な対応が可能となった。ユーザー企業への注意喚起など、攻めの保守を展開することで、プリント品質の向上や材料廃棄ロスの減少をもたらし、同サービスを組み込んだ製品ではほぼ100%に近い高稼働率を保つ。今後は、既存ユーザーへの導入も促していく。
「サービス開始後、導入先では概ね好評を得ている。2018年以降納入する製品では標準保守サービスとして導入、既にプリンタ導入済みのユーザーに対しては、当保守のメリットをしっかり説明し少しずつ拡げて行きたい。」(同社長)

老舗菓子メーカーの付加価値創出をサポート
信頼醸成促進にIoTが一役、さらにその先へ

こうしたニューマインドのプリンターを活用するのが、1951年に創業、地元庄内米にこだわり、全ての工程を自社工場で一貫生産、東北のソウルフードとして愛されてきた代表商品「オランダせんべい」を提供する酒田米菓株式会社だ。
東北地方を中心に数多くの消費者に支持される同社だが、小売店主導の価格下落の影響は大きい。同社社長である佐藤氏は、多様な新商品の開発、飲食店や直売所の展開等、試行錯誤を繰り返しながらも、その打開策に頭を悩ませる日々が続いた。その中で出会ったのが、ニューマインドが提供するエディブルプリンターだ。
数あるエディブルプリンターの中でもニューマインド社製プリンターの品質、可能性に一目惚れし導入を決断した。同社営業先にもその魅力は伝わり、30種類の異なる絵柄をせんべいにプリントしたイベント用の大型案件の受注等、売り上げ拡大に繋がっている。同社は各取引先からの反響を受け、これまで以上に同プリンターの可能性を感じており、更なる活用も視野に入れている。

酒田米菓株式会社 代表取締役社長 佐藤 栄司氏(写真左)エディブルプリンターでプリントされたせんべい。贈答品などでも好評、流通製品と比較し利益率も高い(写真右)

「平成30年6月からは、Web上でカスタマイズオーダーの受付を開始する予定です。今後の菓子製造業は、ノベルティ用途、異業種間での取引等、既存の流通業界に依存しない販路作りが不可欠です。その中で、付加価値を創出できる数少ない有力な武器のひとつになり得るのがニューマインドさんのプリンターだと考えています。」(同社長)
現在はスポットでの少量受注が中心ではあるが、販路の拡大によりプリンターの稼働率等も上がるため、付随する不具合の発生等も想定される。
「ニューマインドさんは、導入作業を通じ、営業・技術力も含め信用に足る会社と認識しています。相互信頼をバックボーンにしながら、IoTの仕組みを監視手段として、常に状況を見守って頂いていることは安心材料です。」(同社長)
培われた信用関係により、両社は更なる一歩を歩み始めた。AIを活用した画像認識技術、ロボット技術の導入による生産性の改善にも取り組んでおり、新しい菓子製造業のカタチづくりを目指している。

オンラインでトラブル要因指標となる数値が共有され、保守業務に活かされる

インタビュイー

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株式会社ニューマインド

代表取締役 佐藤 東一 氏

企業情報【導入元】

社名
株式会社ニューマインド
所在地
東京都中央区東日本橋 2-27-5 グリーンビル5F
設立
平成24年8月16日
事業内容
食品、布地や段ボール、木材、プラスチック、食品、錠剤、CD/DVD盤面等へのプリンターおよび専用インクの開発・設計・製造・販売および保守メンテナンス
資本金
5,000万円
従業員数
7名(平成24年8月現在)

企業情報【導入元】

社名
酒田米菓株式会社
所在地
山形県酒田市両羽町2-24
事業内容
米菓および生地(せんべい、だんご他)製造販売業、OEM事業、観光事業、外食事業 他
資本金
6,000万円
従業員数
74名(平成28年10月現在)