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2019.03.20

高度な技術とトレーサビリティを求められる、航空機部品の製造に特化。 改善を重ね、次代のジャパンクオリティを追求。

株式会社エイチ・エー・ティー

航空機部品の製造に求められるのは、高度な信頼性と安全性だ。更には、品質管理と共に高度なトレーサビリティ(注1)が要求される高度なモノ創り産業でもある。民間航空機の場合は、世界標準のグローバル認可も必要だ。創業1998年の株式会社エイチ・エー・ティーは、創業以来、航空機部品の製造に特化し、求められる製品を早く届けるための改善を続けるものづくり企業だ。同社は当時、東京地区の航空宇宙部品製造企業連合 9社:「AMATERAS(注2)」に選ばれている企業でもある。同社は、作業プロセスの管理にIoTを検討、今後の企業存続、お客様の為にも教育や生産工程自体の改善が先決と考え、同社が革新的事業展開設備支援事業に応募し、採択され、放電加工機、NCマシニング機器、ウォータージェットなど最新の加工機械を導入。 将来的には、生産プロセスを見える化し、次世代を担う従業員教育に注力したいと語る、同社の代表取締役 吉田隆史氏を取材した。

高度なトレーサビリティをクリアしながら、モノ創りに取り組む。

航空機部品に高度な品質が求められるのは、高度1万メートルにもなる極限状態で安全と安心を守るため、わずかな誤差やミスも許されないからだ。トレーサビリティについても、トラブルがあった場合の原因を正確に突き止める必要がある。常に生産プロセスの根拠を明確にするため、非常に細かい製造マニュアルに沿ったモノ創りが行われている。製造マニュアルには、従業員の技量や機械の状態、消耗品の交換時期、製造・加工方法のプロセス、更にそれを支えるインフラや人材のスキルまで規定され、これらを求められる。

製造プロセス見える化のため、IoT導入を検討。

吉田社長:「当社はお陰さまで21年目を迎えることができ、創業当時からこの業界でのスタートです。よって当時から航空宇宙防衛製品を扱っているだけに顧客であるIHIさんから品質意識を教えて頂き、現在はこれら多くの仕事に携わっております。ただ顧客や公的審査などの厳しい監査も定期的に行われ多くの時間や人材がここに当てられ大きなコストも掛かります。そんな中、現在ものづくりの技術者育成、技術伝承が大きな問題でもあり、 今回の革新的事業展開設備支援事業に応募させて頂き、成長著しい航空産業でこの先も支持を受けるために、また変わりつつある物づくり産業、加工分野で生き残るためにも最新の設備導入を検討させていただきました。」

革新的事業展開設備支援事業に選ばれたのを機に、教育や新たな加工にもチャレンジ。

吉田社長:「今回の採択で、教育面に於いては、従来機ではマラソンで言えば42.195kmのトータルタイムしか解らず5km毎のラップタイムなどの経過など中間点での内容や状況を理解する事が出来ませんでしたが、最新機種の導入で、その内容など加工の進捗や状況を可視化することで、よりわかりやすい技術伝承をしてゆくことが出来ると考え、早期の技術者育成に取り組み、また当然のことながら航空分野だけに新たな加工技術、新材料にも対応するためにも今後につなげてゆきたいと考えております。」

変える、変化する、を合言葉に。

吉田社長:「今後に向け古い機械を刷新しました。具体的には、放電加工機、マシニング機器、ウォータージェットを複数台導入しましたが、新機種の導入で人材教育と新たな加工分野にも、変化することに意識し、今後、必要なものは何かを検討している段階です。IoTはあくまで補助的なもので、その前にやる事が沢山あると思っています。ものづくり産業が大きく変わってゆく時代、社員育成や、モノ創りの改善の方が先決、良い製品を早く安く作るための、生産の改善に取り組みたいですね。」
吉田社長:「ダーウィンの言葉ではありませんが、強いものでも賢いものでもなく、環境に順応する種が生き延びる、企業存続も変化することが必要と感じています。変化が無い限り、我が社の未来も無いと感じています。」

工場内

当面は生産設備自体の改善こそが先決。

「将来のIoT導入も必要だが、当面は人材教育や改善や変化することが先決だ。」と、吉田社長は明確な方針を示す。勿論同社はシステム導入に無関心な訳では無い。同社は福島にも工場があり、既に受発注システムを導入し、東京と福島をネットワークで繋ぎ効率化を図り、双方の会議はスカイプを活用してコミュニケーションを図っているという。従業員の人材育成をベースに、本格的な改善活動に取り組む、同社の次のステップに期待したい。

(注1)

トレーサビリティ(英: traceability)は、物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡する流通プロセスの明確化

(注2)

「AMATERAS(Advanced Manufacturing Association of Tokyo Enterprises for Resolution of Aviation System)」は、先進の技術を持つ東京地区の航空宇宙部品製造企業連合の団体名称。メンバー企業9社は、個々にメーカーからの受託加工を請け負ってきたが、その技術はトップクラス

インタビュイー

interviewee

株式会社エイチ・エー・ティー

代表取締役 吉田 隆史 氏

企業情報

社名
株式会社エイチ・エー・ティー
所在地
東京都国立市泉1-6-10 国立事業所 (放電事業部、NDT事業部)
設立
1998年9月24日
事業内容
航空部品の加工
資本金
1,000万円
従業員数
40名