2020.03.31
仮説思考を形に!「巣鴨で1番のズボン屋」の挑戦
~POSシステム導入による顧客データを活用した売上拡大~
有限会社サンまつみや〈卸売・小売業〉
※データ活用事業はすでに募集を終了しております。
巣鴨地蔵通り商店街に立地する有限会社サンまつみや。衣料品店を営んでいる同社が実施した仮説思考に基づくデータ活用について社長の松宮正明様、店長の尾崎朋子様にお話を伺いました。
データ活用事業を利用するきっかけ
当店では、常連のお客様の高齢化が進んでおり、新しいお客様にお店の魅力が十分に伝わっていないように感じていました。ただ、将来を見据えた取り組みを実施した際に、それが正解か不正解かを確認する手段がありませんでした。加えて、数的根拠に基づいて仕入れ・在庫・販売等の予測を行って経営判断をしたいと思っていました。
そのような中、地元の信用金庫や商店街組合の専門家派遣を通じて本事業を知り、他の補助金と比較した結果、機器導入と、運用のアドバイスを一緒に受けられる点に魅力を感じ申し込みました。
事業利用前の状況
各お客様の購入履歴は各従業員限りの情報として店舗全体に共有されておらず、どの商品が売れ筋なのか客観的には誰も分からない状態でした。そのため、販売予測の根拠となるデータもなく、長年の勘と経験を頼りに仕入れを行っていました。加えて、お客様ごとの来店頻度や購入金額が不明なため、DMを発送する際は毎回全会員に対して送っていました。
実施したデータの分析・活用
まず、POSレジと全商品のJANコード管理を導入して商品カテゴリ別の販売データの蓄積と分析を行いました。すると、単価や利益率は高いもののあまり売れていない商品が炙り出される等、データに基づいた仕入れが可能となり、発注業務の負荷が大幅に削減出来ました。
次に、会員情報を整理して顧客データを作成し、それを販売データと組み合わせて分析を行いました。その結果、お客様ごとに来店回数、購入金額、来店頻度が分かるようになり、常連客絞ってDMを送れるようになり、効果的な販促活動が出来るようになりました。
本事業を終えての感想
今は、蓄積されたデータの分析がとても楽しいです。今後、1年、2年とデータが蓄積されていけば、より詳細に見ることができると思うとワクワクしています。また、誰かに指示されるのではなく、自分で仮説を考えてデータを分析し、事実から行動を起こすことが出来るようになりました。在庫が減ってきた時や、新たに仮説を思いついた時等、いつでも必要なデータを出せることがとてもありがたいです。
お客様は自分に本当に合ったものだけを欲しいと感じており、店頭に良いものをそろえるだけでは十分ではありません。当店では、購入いただいた商品に高度なお直しサービスを組み合わせることで、その方の体形に合った、この世に一つだけの商品を提供できるようにし、その情報をデータ化することで、お客様から「前と同じ物が欲しい」という一言をいただければいつでも、すぐに商品を提供できるようになっていきたいと考えています。
専門家には、10回の支援期間中にハード・ソフトの選定から組織での運用体制作りまで、丁寧にアドバイスを頂けて感謝しています。理想を言えば、もっと支援の期間・回数が長ければと思っています。
取材後記
尾崎店長が、「データがあれば出来ること」のイメージを明確に持っていたことが本事業における成功要因だと感じました。もっとお客様に喜んでいただけるにはどうしたらよいのか、もっと従業員の方々が気持ちよく働けるにはどうしたらよいのかといった会社をより良くするための仮説を常に考え、それを証明する手段としてデータを活用されていました。このように仮説思考をベースとすることで、データに振り回されることなく、今後もお店を良くしていくことが出来ると思われます。
(取材:中小企業診断士 柏崎裕介)
企業情報
- 社名
- 有限会社サンまつみや
- 所在地
- 東京都豊島区巣鴨3-20-15
- 設立
- 1981年
- 事業内容
- 衣料品販売
- 資本金
- 1000万円
- 従業員数
- 9名