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2020.03.31

お客様の健康と共に歩む、巣鴨の健康靴専門店
~商環境の変化に対応する新しい店づくり~

株式会社アルプスシューズ〈卸売・小売業〉

※データ活用事業はすでに募集を終了しております。

巣鴨地蔵通り商店街に立地する株式会社アルプスシューズ。半世紀近く靴専門店を営んでいる同社が行った顧客・販売データの分析・活用について社長の小林徹司様にお話を伺いました。

株式会社アルプスシューズ

データ活用事業を利用するきっかけ

ネット販売の拡大や商店街来店客の高齢化が進んでおり、靴業界への危機感がありました。また、都内の靴販売事業者の組合では、ここ15年で組合員が10分の1に減少しました。そんな時に、商店街で行われたセミナーの中で本事業を紹介され、データ活用を切り口として、常に改善を続ける姿勢を習慣化したいと思い、申し込みました。

事業利用前の状況

20年ほど前からお客様の足の情報などを記録したカスタマーカードを紙ベースで作成し、DM等の取り組みに活用していました。しかし、当店の最大の売りであるシューフィッター技術を活かした靴の提案には、足の計測、靴の選定、靴底の調整とあり、お会計が終わる頃には結構な時間を頂いてしまっておりました。このため、会計後に「カスタマーカードを作りませんか?」のもう一言が切り出せず、カスタマーカードをほとんど使わなくなっていました。
さらに、レジの故障によりレジスター機能しか使えず、売上情報とカスタマーカードとの連携ができない状況に陥っていました。

実施したデータの分析・活用

初めに、故障していたレジをPOSレジに買い換えることで、時間・曜日・月・商品カテゴリや来店客数等の様々な販売データを分析出来るようになりました。これにより、これまで気づかなかった売れ筋商品の発見や社員の勤務管理の効率化につなげることができました。
次に、データベースソフトウェアを導入してカスタマーカードをデジタルデータ化すると共に、お客様へカスタマーカードの新規発行を積極的に提案するようにしました。そうして出来上がった顧客データの分析から導き出された優良顧客にダイレクトメールを送付したところ、従来は600通出すと15~20人の来店だったところが、来店数が約2倍に、販売数が約2.6倍となりました。

日次売上データはタブレット端末で確認
日次売上データはタブレット端末で確認

本事業を終えての感想

販売データ分析からは、サイズごとの売れ行きや時間帯ごとの来客数等、多くの面で気付きが得られました。また、顧客データ分析からは、効率よくお客様にPRする方法を学ぶことが出来ました。今後、更にデータが蓄積されることでより多くの成果を得ることが出来ると思います。
満足度は100%、いや120%ですかね(笑)。全10回の支援では、専門家から幾度もアドバイスがあり、非常に親身かつ細やかにサポート頂きました。時には従業員を交えながら、定期的にお尻を叩いていただくことで、少しずつ改善を続けていくことができました。また、自分達だけだと視野が偏ってしまうため、第三者の視点でお店や事業を見ていただくことが重要だと改めて認識しました。
単なる機器導入でも、専門家派遣でもなく、両方がセットになることで効果を享受できる支援だったと思います。贅沢を言えば、支援期間がもう少し長いとありがたかったです。また同じような制度があれば是非とも活用したいですね。

取材後記

積極的な顧客データの収集と優良顧客の絞り込みによって、ダイレクトマーケティングに近い形でDMが活用出来ており、本事業による成果を着実に出しています。これは、小林社長が、コアバリューであるシューフィッティング技術をどのようにすれば効率的かつ効果的にお客様に訴求できるかを考え、企業として守るものと変えるものとのメリハリをつけたことが要因と一つとして挙げられます。
今後、この取り組みを継続してアクティブな顧客層と深く関わることができれば、単なる靴屋と顧客の関係からもう一歩踏み込み、お客様の人生と共に歩むお店へと発展される日も近いと思われます。

(中小企業診断士 柏崎裕介)

企業情報

社名
株式会社アルプスシューズ
所在地
東京都豊島区巣鴨 3-18-17
設立
1971年
事業内容
靴販売
資本金
1000万円
従業員数
4名

巣鴨地蔵通り商店街の中心に立地する靴専門店。
ドイツのコンフォートシューズから、軽量シューズまで様々な種類の靴を取り扱っていることに加え、社長を始めとしたシューフィッター資格を持つ店員が、足の型や骨格に合わせたお客様に最適な靴の提案を行っているのが特徴。