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2021.02.17

いち早くDXに取り組み、海外生産拠点も含め全社IoT化を図り、SDGsとしての新しいビジネスモデルへの転換を目指す

株式会社エヌエスケーエコーマーク

SDGsへの取り組みが広まる中、いち早く社員誰一人取り残される事のない持続可能な開発目標の下にDXを実践し、発展を遂げつつある株式会社エヌエスケーエコーマーク。加工技術を通じスポーツ事業の振興、そしてスポーツ文化の発展への貢献を目指す企業である。

群馬県にある同社吾妻工場
ベトナムにある同社NSK Vietnam Co., Ltd.

スポーツウエアのマーク加工からスタートし36年目を迎える同社は、都内・早稲田の本社、大阪の営業所、群馬県の国内工場、そしてベトナムの海外工場の4拠点を有する。一貫生産の強みを生かし、幅広い技術領域を統合したスポーツウエア事業を展開。一方、同社オリジナル製品であるワンランク上のオリジナル・ルームウエアの構想・デザインから設計・製造・品質管理を経てECによるユーザ直販体制構築により顧客との接点を強化。

自社ブランド強化商品

自社ブランド力を高め、大手企業の下請け色からの脱却を目指す企業だ。この企業の新たな取り組みについて、同社代表取締役の西牧氏にお話しを伺った。

既成概念を振り払い、新たなビジネスモデルへの転換を

同社の進めるDXへの取り組みは、ITを活用し生産プロセスの劇的な変容を遂げようとするアプローチに留まらず、組織の、また社員一人一人のマインドセットを変容させ、主体的な活動を引き出すことが出発点、と経営者・西牧氏は考える。

DXとは(篠原稔和氏)
出典:https://iot-robot.jp/article/expart-20200331-2/

新興国による目まぐるしい低コスト大量供給による日本国内企業の生産売上高・利益率が年々逓減する中、更に昨年からの誰もが想定する事が出来なかったパンデミックによる社会環境激変の追い打ち。
西牧氏は、これら劇的環境変化に対し社員一人一人が危機意識を持ち、自社の存続意義を再確認し、自分達は何を為すべきかを自ら考え実行する契機とし、これを同社のDX活動のスタートラインと位置付けた。

各部門の中核社員12名を招集。中期経営計画に基づく目標を提示し活動が始まった。外部の専門家がファシリテータとして招聘され、社員が主体となったこの活動。デジタル化による新しい職場環境の再構築を目指す。顧客との接点を持ち営業経験のあるIT責任者2名も構成員として選任。デジタル化にはITに精通したメンバーが必要であるためだ。こうしてDX推進に必要な経営層、Z世代、ファシリテータによるプロジェクトが編成された。

ワークショップの開催とマインドセットの変容へ

始動に際し、予め営業部門、工場部門の全社員にアンケートを実施。それぞれの部門担当者が抱える悩み・課題を抽出。並行して、各々その解決方法を探るアジャイルによる地道な活動から開始した。
最終的に3項目のテーマに集約された。1つ目は受注業務の効率化、2つ目は生産業務の効率化、そして3つめは現状IT環境との整合化である。これらアンケート集計情報をベースに、東京・大阪の営業部門と群馬県山間部にある工場とをTV会議でつなぎ、月二回のワークショップが開催され侃々諤々、様々な議論が展開された。

ワークショップのひとこま
収集アンケート例

議論が尽くされたところで全員が賛同する今回の活動目標が導出、合意された。それはデジタル技術を活用した生産性向上―現状の紙ベース管理業務のペーパーレス化。作業工程のリアルタイム進捗管理による大幅な業務生産性向上。そして継続的原価低減に取り組むための仕組みの構築である。
これがプロジェクト構成員のマインドセット変容の瞬間だった。

IoTを用いた新しい業務プロセスの導出

これまでの業務フローは、営業部門が営業活動を通じ顧客要求事項を取りまとめ文書化していた。デザイン案を含む製造指示書として紙ベースで製造部門に情報伝達される。製造部門では、先ずデザイン要求仕様を基にデザイナーによるデザイン作業から出発。別途受入れ・検品された原材料に対し、製作されたデザインをシルクスクリーンプリント・ラバー圧着・マーク転写・昇華転写、或いは刺繍が施される。そして、生地の裁断工程・縫製工程・検品工程・発送工程へと進むのだ。

昇華転写工程
縫製工程
プリント工程
圧着工程

一連の作業は紙ベースで工程管理され、それぞれ次の工程間に受け渡されていく。この紙ベースでの製造管理業務は、過去の関連書類も探し出す作業を含む無駄な段取り時間発生が問題だ。更に、様々な要因による人的ミス、資材の浪費、情報再利用の困難性等々、多岐に亘る問題を内包する。

これらの課題を解決するためデジタル化の第一歩として、各工程でのバーコードによる各種情報の自動入力の仕組みを導入。集計される様々なデータを進捗管理システムと連動させた。また各工程のリードタイムが自動計測できるようにも工夫した。
以上の業務改善作業、IoT導入作業により、全ての製造工程の作業状況が可視化でき、リアルタイムに全体の製造工程を俯瞰出来る様になった。更に、これらを全社共有情報として、本社・工場間の情報連携を実現できるに至った。

生産性の飛躍的向上達成への道筋と実現効果の計測

上記一連の仕組みを構築し、運用を開始したことで、従来手作業で実施していた作業の劇的改善効果を達成できた。更にこれら様々な生産情報間のシステム連携により、個別原価管理が可能となった。これに伴い各々の製造工程での課題があぶり出され、更なる作業改善のための情報収集が可能となったのだ。この仕組みにより、継続的改善活動につなげる手段を得ることができ、日々、最終目標である製造原価低減に向けた活動も開始された。

工場生産の詳細な従来作業プロセスはexcelで工程管理されていた。excelで作成された工程ごとの管理表を全てプリントアウト。その紙資料を手作業でつなぎ合わせ全体工程情報として工場内に掲示。現場担当者はそれぞれ掲示場所に足を運び、状況を確認し現場に戻りそれぞれ持ち場の製造工程を調整する作業が延々と繰り返された。

従来管理作業の例

LAN敷設とこれに伴うデジタル環境整備で、各工程の作業がタブレット端末操作により一連の情報としてそれぞれの製造現場でシームレスに管理できるようになった。また大型モニターの導入により全体工程がリアルタイムに視認できるよう工夫。その結果、それぞれの製造工程にて作業を切れ目なく継続することができる環境が整備され、劇的な生産性向上193%を実現できるに至ったのだ。

タブレット・モニター設置例
全製造工程のモニター表示例

また従来は、紙ベースでの担当者印の押印による工程管理表の持ち回り作業もあった。これが一転、バーコードによる端末への当該情報入力により押印作業も代替。工場内ペーパーレス化の第一歩を踏み出した。

従来の押印工程の管理例

一方、シルクスクリーン印刷で使用する版は、稼働中の在庫だけでも6~7,000種にのぼる。また製造終了後の版も、数年後、顧客からの突然の要望により再度使用するケースもある。この様に版管理は様々な管理ニーズを満たす必要がある。これは従来、手書きの製版番号にて原本管理され、それ故、製造時、必要な原版を探し出すのにも多くの時間を要した。

従来の手作業による版管理の例

今回の活動を通じ、バーコード・シールによる版管理に移行した。バーコードを読み取る事で管理情報がサーバから作業者に自動送信され、即座に保管場所が特定できるのだ。更に、誰もが版の管理情報を容易に取得でき、使用日・使用回数も自動管理できるようになった。版の段取り時間の削減のみならず、過剰生産の防止にも効果を発揮。この仕組みの導入で全体の生産工程の原価低減にも大きく寄与することとなった。

製版原本へのバーコード管理例

社員一人一人の想い実現へ、そして次への飛躍へ

ここで紹介したDX活動は同社にとって未だ緒に着いたばかり。群馬工場ではIoT化により、製造工程の全体像が見えてきた。ベトナム工場ではいわゆるZ世代の次世代経営者による新たな設計・製造・EC直結の販売網づくりへの取り組みが試行段階に入った。本社・大阪の営業部門では各自PCとサーバ連携による情報共有による業務効率化がスタート。そして工場-本社・大阪の営業部門-顧客間の密な連携での短納期・小ロット生産対応による顧客満足度向上の仕組みはようやく完成段階。また、ECによる生産者と一般消費者の心をつなぐ仕組み構築に向け試行を開始した状況にあり、同社のDXの取り組みは、まだまだ道半ば。

西牧氏は、新たに顧客と工場とを直結する次世代ビジネスモデルを掲げる。社員のモチベーション向上にむけ、自社ブランドの顧客評価を社内にフィードバックする構想もその一つ。例えばデザイナー社員・製品担当社員が、顧客を身近に意識できる環境を整備した。これは主体的に取り組む意識を向上させ、工夫意欲を高める仕組み作りだ。
また、同社のフリンジベネフィットも充実。ベトナムからの留学生に対し寮を提供し、日本語の朝礼や語学訓練、体系教育の実施。春には花見、秋の文化祭など近隣住民とのふれあいで両国間の架け橋役も。留学生が様々な日本文化に触れこれを体得することで、将来帰国したベトナム自国のリーダーとしての育成も目指す。日本-ベトナム間の文化交流、経済交流の更なる活性化を図り、そして世界の顧客と自社とをつなぐ一つの取り組みだ。国際人材育成にも心血を注ぎ、将来経営への夢は尽きない。

株式会社エヌエスケーエコーマークは、新次元のスポーツ事業振興・スポーツ文化発展への更なる貢献を目指す。同社ではDXによる継続的な変容を遂げ成長し続けようとする、将にSDGsへの取り組みが始まっている。

おわりに

第三のニューノーマル時代に向けたSDGsへの社会構造の変容が迫られている。中小企業にとってDXは、これにブレークスルーを起こす重要なキーとなる。誰一人取り残される事のない持続的発展へと導く事が企業に求められる一つの喫緊の経営課題である。

今後、各々の中小企業に於けるSDGs、DXへの取り組みに際し、下記コラムをご参考戴きたい。

https://iot-robot.jp/article/expart-20200331-2/

群馬工場・本部棟前で

代表取締役・西牧寛治氏とIT推進担当責任者・狩野一機氏

インタビュイー

interviewee

株式会社エヌエスケーエコーマーク

代表取締役 西牧 寛次 氏

企業情報

社名
株式会社エヌエスケーエコーマーク
所在地
東京都新宿区西早稲田1-18-9 イマスオフィス早稲田6階
設立
1985年11月19日
事業内容
スポーツ及びアパレル衣料のマークのデザイン製作、昇華熱転写、シルクスクリーンプリント、ラバー熱転写、NOBINOBIMARKの製造、刺繍のマーク加工及び縫製。
資本金
1000万円
従業員数
日本 : 109名 、ベトナム : 117名 (2015年10月時点)


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