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2021.03.31

パンで幸福を!
売上予測によるパン屋の経営効率化
~POSデータの活用による生産性向上と廃棄ロスの減少~

株式会社リトルハピネス

※データ活用事業はすでに募集を終了しております。

東京都心を中心に「ブーランジェリー ボヌール」ブランドでパン屋を展開する株式会社リトルハピネス。同社が実施した販売データを用いた適正生産数の予測について代表取締役の箕輪喜彦様にお話を伺いました。

株式会社リトルハピネス

データ活用事業利用前の状況

パン屋の特徴として、商品をその日の内に売り切らなければならないことが挙げられます。しかしながら、商品が何も無いとお客様は来店されなくなってしまいますので、一定の廃棄ロスが生じしてしまう業態だと言えます。一般的なパン屋における廃棄ロス率は10%前後ですが、当社ではPOSデータの分析によって、8%程度まで抑制が出来ておりました。

しかし、人件費(Labor)が最低賃金の上昇などで毎年上がり続けており、FL比率(売上に対する人件費と原価の割合)を従来程度に維持するためには、年間で360万円近い金額になっていた廃棄ロス(Food)を下げていく必要がありました。加えて、新しく導入するセルフレジでは旧来のPOSデータの分析が出来なくなってしまうことも課題でした。この分析は、一人の人間が週1日丸ごと張り付いて作業しなければならず、大きな負担になっていました。

事業を利用するきっかけ

店舗レジのセルフレジ化に合わせて、システム構築が必要だったため、インターネットで補助金・助成金を検索している中で見つけました。

実施したデータの分析・活用

当時は、各店舗で店長達がそれぞれの勘や経験により生産指令を出していたため、過度の売れ残りや売り逃しが発生していました。そこで、廃棄ロスの適正値を算出するべく、専門家の方と共に過去数週間の売上データを分析して曜日ごとの平均生産数を算出し、そこに完売による売り逃しを想定した数量を加算して適正生産数を導き出ました。なお、実施にあたっては、多くのお客様の来店目的となっていると思われる売上数の上位の品に絞って実施しました。
実際に適正生産数で生産行って、適正さを検証したところ、一部の商品で廃棄ロスが生じてしまいました。この誤差は、計算式には含まれない①天気、②気温、③お客様の流れの違いによって発生したもの考えられました。そこで、適正生産数の算出式はPOSシステムのソフトウェアに組み込んで自動化しつつも、各店舗で一定時刻に状況を把握してそれ以降の生産数を修正する方法をとりました。
新型コロナ感染症の影響で、売上予測が有効に機能した店舗に差があったものの、有効な店舗では廃棄ロス率8%から6%程度に抑えられ、一定の廃棄ロス率・FL比率抑制に加え、集計作業の効率化を達成し、生産性が向上しました。

日々のデータから適正生産数が算出されます。
日々のデータから適正生産数が算出されます。

本事業を終えての感想

今回の事業で分析結果を自動で作れるようになりましたので、今後は、当社の将来予測のための基礎データとして活用を続けていくことに加え、各店長向けのデータ活用の研修を行い、廃棄ロスをさらに減らす方法や、データを有効活用するにはどのようなことが出来るのかを、組織として考えられるようにしていきたいと考えています。

取材後記

箕輪社長は、パンで幸福をもたらすという理念に向かって、まっすぐにお仕事をされていることが印象的でした。加えて、本事業では、どのようなデータを活用すると売上予測を進化させられそうかのイメージを明確にお持ちだったことが、成功要因と思います。店舗を運営する中で蓄積してきた過去の実績を、将来の予測に上手く活かせていると感じました。売上実績データと、外部のビックデータを組み合わせて、将来の自社の売上予測を作成するという点で、今後の可能性を感じる事例だと思います。
(取材:中小企業診断士 柏崎裕介)

企業情報

社名
株式会社リトルハピネス
所在地
東京都世田谷区太子堂4-28-10 鈴木ビル3F
設立
1990年
事業内容
製パン
資本金
2000万円
従業員数
185名

社長が幼い頃、母親に連れられてお店に並んで買った焼きたてパンの美味しさに感動したことが原体験。その後、大手パン屋のFC運営を経て、2007年に自社ブランド「ブーランジェリー ボヌール」(フランス語で「幸せのパン屋」)として独立。「お客様にパンで幸せを届ける」を理念に、全店舗にパン焼きの厨房を設け、毎日18時まで1時間おきに焼き立てのパンを提供しています。