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2023.10.12

社内の声を活かした効率化で新規スタッフも即戦力に!

銀座セカンドライフ株式会社〈サービス業〉

銀座セカンドライフ株式会社(以下、同社)は、コンサルタントからセミナー・交流会など、さまざまな方面から起業支援を行い、起業家が共同で利用できるレンタルオフィス「アントレサロン」の運営を手掛けている。そのなかでもレンタルオフィスの業務効率化、そして利用者へのサービス向上が求められていた。

代表取締役の片桐実央氏は、東京都中小企業振興公社(以下、公社)の支援のことを知り、この機会に日頃から改善を考えていた問題に対し一気に解決を図った。今回、導入したものは①アクティブディレクトリ②スマートロック③日報システム(自社開発)④デジタルサイネージ⑤日程調整システム(自社開発)⑥決済システムの6つ。

銀座セカンドライフ株式会社 代表取締役 片桐実央氏

課題解決に向けて行った6つのデジタル化
~レンタルオフィス事業の効率を底上げ

① アクティブディレクトリ

システム担当者が12カ所のレンタルオフィスに設置されたパソコンを本社でまとめて管理。社員が利用するソフトウェアの設定・職層別のアクセス権限設定・USBメモリーをはじめとする外部メディアの機能制限など、本社内で一括管理できるようになった。 「今まではシステム担当者が個々のオフィスに出向いて設定していたので、新システムを導入してからは担当者の業務負担が減り、他の業務も行えるようになりました」(片桐氏) ② スマートロック セミナールームや会議室が会員の予約利用時間に合わせて、自動で部屋の施錠・開錠を行えるようになった。

③ 日報システム

同社では、各レンタルオフィスのスタッフから1日3回利用状況を計測して報告を実施。Word書類に入力して報告していたものをシステム化した。 「今まではデスクに対して何人座っているか、スタッフから報告された数字から利用率を計算していましたが、日報システムでは稼働率がグラフで表示され、どのオフィスが混雑しているのかなど可視化できるようになったのは大きいですね」(片桐氏) ④ デジタルサイネージ 各店舗のラウンジにポスターで掲示していた自社広告や告知などを、テレビモニターで流すように変更。 「これまではポスターを掲示していましたが、ポスターの破損や古いものが貼られたままなど管理が煩雑だったので、デジタルサイネージに置き換えて管理が楽になりました」(片桐氏)

⑤ 日程調整システム

同社ではレンタルオフィスの内覧・契約に加え、起業支援のための相談や面談が数多く、打ち合わせルームの手配やスケジュール確認を行っていた。日程調整システムを導入して顧客側で画面上のカレンダーで選んで日程を決められるようになった。 ⑥ 決済システム 同社では、「ドロップイン」というレンタルオフィスの時間貸しサービスも行っており、テレワークの浸透とともに利用者が増加。これまでフロントで利用時間を計算したり、現金支払いのお釣りを用意したり、フロントスタッフからの改善要望が多くあがっていたため、決済システムを導入。利用者が決済端末で支払い内容を選択し、クレジットカードやICカードなどでも決済が可能となった。端末がインターネットに繋がっているのでリアルタイムで各店の売上データが把握できるようになった。

6つのデジタルツールを導入した

自社運用に合わせるのに苦戦
~“普通の使い方じゃないですね”と言われたことも

今回の6つのデジタルツールの導入によりレンタルオフィス事業全体の効率向上に繋がったが、同社ならではの苦労もあったと片桐氏は語る。

「今回導入したスマートロックですが、本来は暗証番号を入力して開錠させるところ、利用開始10分前に自動で開錠させ、終了時間10分後に施錠するように使っています。スマートロックの業者からは“普通の使い方じゃないですね”と言われながらも、私たちの運営に当てはめるように努力しました。これまで会員様には10分前に開錠、10分延長は無料でいいというルールでお願いしていますし、セミナーのトイレ休憩で部屋から出てしまうと戻るのに、暗証番号が必要になりますので、セミナー参加者全員に暗証番号を伝えるのも大変です。会員様には何も気づかれないようにスマートロックを導入することが重要でした。受付スタッフの心理的な負担が減ったのもポイントです」(片桐氏) スマートロックよりも苦労したのは、日程調整システムだったと語る片桐氏。当初は、他社サービスの日程調整ツールを利用する予定だったところを自社開発に切り替えた。 「すでにある他社サービスを利用しようといくつか試してみましたが、合ったものが見つからず、自社で開発することにしました。日程調整システム単体であれば技術的に簡単そうでしたが、Zoomのオンラインシステムと弊社の会議室予約システム、Outlookの予定表を連携させるのが開発する業者にとって障壁になりました。エンジニアの方もMicrosoftのサービスとZoomのサービスの全部を把握しているわけではなく勉強しながらシステムを構築したので一番時間がかかりました」(片桐氏)

セミナーや交流会などを開催し、起業を目指す方々をサポートする同社

新人でも即戦力に!
~デジタル化がもたらした大きな変化

レンタルオフィスのフロント業務は曜日でローテーション組み、月曜日から金曜日まで違うスタッフを配置。スタッフがどの店舗でも、同じような業務ができるようにサービスの均一化が求められていた。今回のデジタルツールによって効率化が進み、店舗ごとに異なっていた労力差がなくなってきた。

「これまで経験を積んだスタッフにしか任せられなかった利用者の多い店舗でも、経験の浅いスタッフがフロント業務をこなせるようになってきました。受付がAさんであっても、Bさんであっても同じサービスが提供できなければなりません。そのためにはスタッフの負担を減らすための効率化が必要なのです」(片桐氏) 利用者が多く多忙な店舗でも勤務時間が短縮され、スタッフのワークライフバランスにも良い影響をもたらしているという。

業務効率化に向けたプロジェクトを立ち上げ!
~課題を見つけ、問題提起ができる社内文化

同社では、片桐氏を筆頭に全スタッフで業務上の問題や効率化の提案を募っている。スタッフは店舗業務のほか、問題解決のための取り組みを実行させるプロジェクト業務を任されている。

「スタッフは、アイデア出しや提案が得意だけど実行するのが苦手な人、提案は苦手だけど課題を実行するのが得意な人、と人それぞれ。
アイデアがあっても実行しないことには意味がないので、採用したアイデアは基本的には挙手してもらい、1プロジェクトにつき4人ぐらいでプロジェクト業務として行っています。そのプロジェクトでアイデアを出した人、実行した人とそれぞれを評価するようにしています。
ただ、店舗業務が優先であって、プロジェクト業務は店舗業務の合間、業務時間内だけで行ってもらいます」(片桐氏)

デジタル化に向けて追い風!
~専門家によるアドバイスで大きく進展

数多くの業務改善のアイデアが溜まり、問題解決のためにデジタルツールの導入を検討していたところ、公社が実施しているデジタル技術活用推進事業の公募を知り応募。実際に応募して片桐氏が良かったと感じたのは、専門家派遣によるアドバイスが受けられたことだと語る。

「専門家の方とお話して気づきや学びがたくさんありました。例えばデジタルサイネージをどうやって導入するのか具体的に分からなかったので質問してみたところ、相談すべき相手や相談のポイントを即答していただきました。こちらから課題を書き出したものを10~15ほど、箇条書きにして全部聞いてみても、そのほとんどを答えていただきました。とても知識の幅が広い方でよかったです」(片桐氏)

専門家に何でも相談ができて、アドバイスしていただけたのは大きな価値となりましたと語る片桐氏

業務のデジタル化を検討している中小企業に向けたアドバイスを伺った。

同社でポイントとしたのが以下の6つ。 ① 現場目線での社内課題の明確化 ② 課題解決に必要なデジタルツールの調査 ③ 業者からのヒアリング ④ 各業者のヒアリング内容を比較表にしてまとめる ⑤ 業務運用に合わせた設定を社内でマニュアル化 ⑥ 社員に向けた研修 「はじめは導入する技術や業界のことがわかりませんから、業者から話を聞くことで必要な要件もはっきりしてきます。今はオンラインでも打ち合わせができるので5〜6社から話を聞き、業者ごとに何ができて、何ができないといった比較表を作ると発注する業者も見えてきます。デジタルツールは発注したら終わりではなく、実際の業務運用に合わせた設定をするのは業者任せだけでは足りないことが多いので、自分たちでも細かな調整ができるように社内マニュアルを作り、全体研修をしています」(片桐氏)

企業情報

社名
銀座セカンドライフ株式会社
所在地
東京都中央区銀座7丁目13番5号 NREG銀座ビル1階
設立
2008年
事業内容
起業支援事業。主にコンサル、事務代行、交流会セミナー開催、講演・執筆活動、レンタルオフィスの提供
資本金
1,000万円
従業員数
17名(2023年10月現在)